6.19『バナナガム』読書会レポート📝
最新号
こんにちは!詩歌担当より、第12回短歌の読書会の様子を報告したいと思います🍌
今回取り上げたのは、篠原仮眠さんの『banana flavored chewing gum』です。白い蛍光灯に白いテーブルという2階のレンタルスペースに、ポップな表紙の歌集が並びとても輝いていました🍬
歌集のタイトルにちなんで、最初の自己紹介ではみなさんの好きなお菓子などをうかがいました。バナナ味については、果物のバナナは好きだけどバナナ味は苦手な人、逆にバナナ味が好きな方、バナナもバナナ味も両方好きという方、これだけでも様々な人がこの場に集ってくださったなと感じました。
話題に上がった短歌をいくつかご紹介します↓
川の動画いつか繋ごうと思ってる違う季節の違う天気の(P.31)
共感の気持ちでこの歌を挙げてくださったとのこと。よくお散歩をされていて、川の動画を撮ることもあるそうです。個人的には写真は撮っても動画を撮ろうとまで思うことが少なかったのですが、動画のほうがその時の細かな記憶を後から思い出せるというお話がありました。この歌が入っている連作「釘が抜ける」が、不在感が描かれていることから、この歌も誰か(あなた)がいないことが含まれているのではという読みもありました。
いなくなる人の写真を撮る人のように笑って崖を背に立つ(P.41)
こちらの歌については、最終的に謎が多く比較的時間をかけて読み解いていきました。実際に起きているのは「笑って崖を背に立」っていること、前半はその説明で、しかも「のように」でつながっている。この「のように」の部分のリズムがいいという意見もありました。「いなくなる人の写真を撮る」場面は、送別会がまず思い浮かぶというお話も。歌集のあちこちに幽霊がちらついていることから、「いなくなる人」というのが死んでしまう人のようにも思えてくるという話にも。
また、歌単体で見るとわりと深刻そうなシーンに見えますが、連作で見ると前後に並んでいる歌は軽めでかわいらしい雰囲気があるというのも、この歌を取り上げてくださった方から言及がありました。
海賊が死ぬまで噛んでいたミント そういうシールブックにしたい(P.48)
まず、「海賊」がとてもいいとのこと。海賊が死ぬときを想像すると、天寿を全うするイメージはあまりなく、船の上で戦の中で死を迎えそうという意見も出ました。海賊に対して憧れの気持ちが感じられるという方もいらっしゃっておもしろかったです。
耳噛んでいたら開いちゃう冷蔵庫 そのときあふれだしたの光(P.96)
なぜなのか、何の耳なのかはわかりませんが、耳を噛むことが条件となって開く冷蔵庫がある。不可解ではありますが、そういうこともあるのだろうとなぜか了解できてしまうという声が多かったです。最後が「光」で終わるのが救いのような感じという方も、本当にそうだろうかという方もいらっしゃいました。「あふれだしたの」の「の」の部分が不思議というお話も出ましたが、「開いちゃう」と同じあどけなさがあって魅力でもあると思います。
パトカーのサイレンが鳴りだしたとき二人は見つめ合う 海開き(P.115)
この歌が一番、今回みんなで話が盛り上がったかもしれません。作者の歌にしては少しロマンチックすぎるという声もありましたが、そういう演出という感じがします。「サイレン」は遠くで鳴っているのか、近くで複数鳴っているのか。二人は犯罪をして追われているのか、まったく無関係なのかわかりませんが、完全に二人っきりの世界がはじまっています。そのためか、「海開き」をしているが、まだ海には人がいない感じがするという方もいらっしゃいました。
好きな子の鼻血が見れた 川沿いの桜の食べれないさくらんぼ(P.118)
最初は「鼻血」に少しぎょっとしますが、鼻血に気付くくらいその相手のことを見ていて、本当に好きなんだなと思ったとのことでした。桜の花盛りが過ぎた後に小さい実がなっていることと並んで置かれていて、自分しか気付かないような小さな発見がうれしいということかと思いきや、その実は「食べれない」。些細なことに気付いたうれしさだけでなく、別にだからといって何にもならない……と真顔になるところまで描かれているという意見があり、たしかにと思いました。
ろうそくを消すとケーキのにおいする ケーキないのに 前あったから(P.130)
誕生日ケーキと一緒にろうそくを消したことがある人がたくさんいると思います。みんなその匂いを思い出すから、嘘っぽくてチープでかわいいものが漂っていたり、構造について言及していたり、メタっぽい発言が多い印象の歌たちの中で、とても現実味を帯びて感覚的に納得する歌だなという印象です。しかも、心理学の分野で、まさにこの歌が言っていることを指す用語があるそうです。(プルースト効果のことでしょうか?)
いつも新しい方が参加してくださることと、よく参加してくださっている方がいらっしゃることが同じくらいうれしいのですが、今回は学生さんも来てくださってとてもうれしかったです。バナナガムは、篠原仮眠さんのサイン本が少しだけ残っていますので、お探しの方はぜひ遊びに来てください!!👻
当店は、埼玉県朝霞市にある本屋CHIENOWA BASEです📚東武東上線「朝霞」駅より徒歩6分、池袋からは15分ほどで着きます🚃
次回7/17(金)は『海のうた』の読書会を予定しております!海の日の直前に、海の短歌をみなさまと読めたらうれしいです🌊