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スタッフ通信

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5.15読書会レポート📝

 

最新号

こんにちは!詩歌担当より、第11回短歌の読書会の様子を報告したいと思います😊

先月はカードゲーム57577(ゴーシチゴーシチシチ)で遊びましたので、読書会はなんだか久しぶりのような感覚でした。またお会いできた方、初めましての方が集まってくださり、とてもうれしく思いました。

今回取り上げたのは、石川美南さんの『砂の降る教室』という歌集です。この会では主に、普段と同じことば遣いで書かれた短歌を読んできましたが、文語旧かな混じりの歌集に初めて挑戦しました。

表記が少し古めかしくても、詠まれている内容はそれほど重たくなく、からっとしている印象でした。そこまで読みづらいということもなく、すんなり入ってくる歌が多かったのではないでしょうか。

話題に上がった短歌をいくつかご紹介します↓

もつと熱き喧嘩するためスペイン語を習ひ始めぬ verdeは緑(P.26)

”情熱の国”のように典型的なイメージに対して、正反対ともいえる自然や、落ち着いた緑という色が対照されているのが面白いとのこと。

このverdeは緑というフレーズについて、スペインの詩人、フェデリコ・ガルシア・ロルカの詩、「Verde que te quiero verde」からの引用ではないかという意見がありました(!)

百匹の猫引き連れて海に行く気分 にやりと君が笑へば(P.35)

こちらの歌については、読みが二つに分かれました。ポジティブに受け取った読みと、ネガティブな感情を読み取った解釈がありました。かわいらしい猫がたくさんでとにかく楽しげな気分と読んだ場合と、好き勝手に動き回る猫百匹を連れて海に行かなければいけない、大混乱の様子と読んだ場合です。どちらにしても、犬ではなく猫であるところがポイントだろうと思われます。

アラビア語大地を這ひてあらはるる匂ひか野辺の方より来たる(P.94)

どういうことかよくわからなかったので、みなさんの意見を聞いてみたいと挙げてくださった歌です。アラビア語の音の聞こえ方か、文字の見た目の様子か、様々な意見が出ました。歌集冒頭に大学がF市に移転したという情報があったり、途中、文化祭に向けてフラメンコを練習する連作があったり、ということから大学でスペイン語やスペイン文化を専攻する学生の姿が想像できます。アラビア語からの影響も大きいスペイン語を日本の大学で習っていて、大地を這い、海を渡って伝わる言語文化に思いをはせた歌なのかなという話になりました。

衣替へ面倒くさくのろのろと黄緑のシャツ出してゐる山(P.95)

こちらも二通りの読みに分かれて面白かったです。一つ目は、衣類や洗濯物がたまっている様子を山と喩えているという読み方。二つ目は、山そのものが色を変えていく様子を人の衣替えに喩えているという読み方でした。この一首だけを取り出したとき、どちらもありそうで、どちらも面白い解釈です。前後の歌と並べて読んだときには、自然の情景を詠んだ歌もあるため、後者の解釈をしたというお話がありました。

誰のこともさして恋はずに作りたる恋歌に似て真夏のうがひ(P.149)

真夏なので、水道の水も少し温そうという意見があり、一首の具体性がさらに上がった気がします。短歌には和歌から連綿と受け継がれる恋歌の伝統もありますが、真向から恋の歌を詠むことに違和感や少し抵抗感のある主体が、それでもあまり引け目を感じていないかのように堂々とした様子なのがかっこいいです。

書棚より賢治の詩集抜き取れば古書店店主しづかに笑ふ(P.154)

「茨海書店店主と出会ふ」という連作からの一首です。最後に置かれた一連ですが、これについてもとても話が盛り上がりました。一読して気づかなかったのですが、なぜか3月から始まっていて、時系列が逆に並んでいます。これが最初に戻って読み返したくなる仕掛けになっていて、小説でもよくある手法だという意見がありました。あとがきにも、一章と三章は大学時代の作と書かれていることもあり、3月で大学を卒業したと読み取ることができます。メールのやりとりをたくさんしていたり、一緒にピクニックに行ったりととても仲の良い様子が描かれるだけに、8月は夏休みだから会わずに過ごし、卒業が同時に別れになるというのが切なく感じます。

今までに扱った歌集の中でも、とりわけ連作単位で言及されることが多かったのが印象的でした。この連作から一首選びたいと思って選んだ、この連作(「完全茸狩りマニュアル」)についても話したかった…!などなど。それだけにとどまらず、歌集全体についても、「鬼」という語が頻出し使われ方がちょっと変わっているなど、様々な意見が出て楽しい回となりました🎶ご参加くださった方々、本当にありがとうございました!

当店は、埼玉県朝霞市にある本屋CHIENOWA BASEです東武東上線「朝霞」駅より徒歩6分、池袋からは15分ほどで着きます🚃

次回6/19(金)は篠原仮眠『banana flavored chewing gum』読書会を予定しております!すでに残席2となっておりますので、お早めにどうぞ🍌

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